絶滅が心配されるトキを作曲者は廃れていく物に 対する美しさを感じ，この曲を作った。彼の最初期 の作品であり，弦の不協和音のロングトーンの上に ピアノの音が効果的に浮かび上がる仕掛けるに なっている。なお作曲者は鳥を題材にしている 作品を数多く作曲している。

サックス奏者，須川氏に書かれたこの曲はすでに サックス協奏曲では重要な位置を占めている作品 と成っている。吉松はジャズのセッションにも 参加したことがある経歴を活かして極めて聞き易い 作品に仕上がっている。特に終楽章の情熱的な サックスの演奏には注目だ。

吉松がバッハの「インベンション」を意識したと 語っているように極めて短い曲が集まったピアノ曲。 現在第9集までまとまっている。現代音楽とはかけ離れた 極めて美しい響きが印象であり、現代音楽が嫌いな 人には是非聞いて欲しい作品である。曲では教会旋律 が多用されており、ラベルの作品をモダンにアレンジ したような感じである。なお変拍子(5拍子，7拍子) の作品があり、そのリズム感も注目して欲しい。私も楽譜を買ってしまいました。

彼は交響曲を3曲書いているがその中でも 評価が高いのがこの曲。カムイチカプとは アイヌ語で「神の鳥」と言う意味である。 最近の現代音楽の傾向の一つである多様式形式 を表し，ロック，Jazz，前衛音楽，古代日本音楽 等をほど良く調合している。第一楽章は一種の パッサカリアとも言えるバスの音型が続き 速度が速まり集結する。

吉松の音楽は近年調性を重視する傾向にある。 その中でもこの曲は私が気に入っている 作品である。曲は早逝した作曲者の姉に捧げ られていて、彼女が最後に発した「次に生まれて 来るときには鳥になりたいな...」という言葉 にインスピレーションを吹き込まれ作られた。 序盤の冬の木立のような悲しくも美しい旋律 から徐々に生命の息吹を感じさせる和音に 変形していく様に注目して欲しい。

聞きやすい現代音楽のCDはありませんか？とよく聞かれます。 その時に自信を持ってお勧めできるのがこのCDです。吉松隆は邦人作曲の中でも 美しい旋律を作ること出すことより多くのファンの心をつかんでいます。 交響曲などの大曲もありますが、まずはピアノ小品で彼の作品を聞いてみましょう。

彼がバッハのインベンションを意識したと書いているとおり、その曲は2〜3分程度 で終わる曲ばかりです。しかしながら、そこに書かれている曲のバリエーションは 幅が広く、そして美しい曲でちらばめられています。最初に聞いた時にはラベル などの印象派の作品では？と思ってしまうことでしょう。まさしく「ヒーリング」 できる曲と言えるでしょう。

演奏は田部京子。吉松隆作品を数多く演奏し、この「プレイアデス舞曲」の続編 もCD録音しています。彼女の繊細なピアノタッチも利き所の一つです。 ちなみに、楽譜も出版されています。CDで聞くと簡単に弾けそうと思いますが、 実際弾いてみると変拍子や拍子の変化が多く、かなり難しいです。
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