彼の初期の代表作。ゆったりとしたテンポながら独特の緊張感が持続する。来日中のストラヴィンスキーがこの曲を聞いて感銘を受けたことでも知られている。
彼の最大の代表作でニューヨークフィルハーモニー交響楽団の創立125周年に委嘱作品。尺八と琵琶の和楽器を協奏曲にしているのが最大の特徴で日本人には聞き易い曲であろう。彼の特長である独特の「間」が発揮された作品。この時期の世界的流行である弦楽器パートの細分化を実践している。
武満のピアノ曲はゆったりし、音の持続，休符を活用した物が多い。 まさにこの曲はその例を示した物。大江健三郎の 「賢い雨の木」を読んで感銘を受け、この作品 を作った。
武満はフルートに対して愛着を持っていたようでそのフルートに対する代表作がこの曲である。後期作品の特徴である豊かな色彩感覚が存分に堪能でき、現代音楽初心者でも聞き易い。アルトフルートという低音フルートを使うことによりフラッター奏法は尺八を意識させられる。なお武満は最晩年に独奏フルートのための「エア」を作曲している。
彼の作品はドビュッシーの影響を受けていると言われているが，この作品はその鮮やかな音の色彩を感じることが出来るはず。ちなみに夢窓は室町時代の禅僧の名前であり数多くの日本庭園を設計したことでも知られる。武満はおそらくその日本庭園を音楽に表したかったのだろう。「夢」は彼の作品で多く使われるキーワードである。
武満は和楽器とオーケストラのコンビネーションを何度か行っているが，これは最晩期の代表作と言えよう。曲の前後には笙の厳粛な演奏が入るために，おごそかな感じがする仕掛けになっている。なお、この曲は「サイトウキネンオーケストラ」の委嘱作品である。