当時のハンガリー内では前衛音楽が規制を受け， 自由に聞くことが出来なかった。作曲者はバルトーク の名曲弦楽四重奏曲集のスコアを元にこの曲を書いた。 そのためバルトークの様な曲の感じがするのが特徴 といえる。

ペンデレツキの「広島の犠牲者のための哀歌」と 並んでクラスター技法の代表的な作品。楽器のパート を非常に細かく分解(87声部!!)することにより もやもやとした漠然とした雰囲気をだすことに成功 している。(ちなみにアトモスフェールは「大気」という 意味)音の変色とダイナミックスを楽しんで 頂きたい。なお彼の作品「ロンターナ」同じ様な 作品である。

リゲティはアフリカリズムの影響を受けポリリズム (異なる拍子を同時に演奏する)やナウロンカロー (アメリカの作曲家)の影響をうけリズムを細分化する のだが，それらの技術を用いた作品である。もうひとつ 面白いのが金管楽器が倍音で演奏することで通常使わ れている平均律とは違い少し調子外れに聞こえるのが 特徴である。

今まで第三巻まで進行中のピアノ曲。前述の ポリリズムがいろいろな所で現れ極めてリズムの 変化が楽しめる曲と成っている。またこの曲の演奏 は難易度が高く多くの名人芸を争うピアニストに よって演奏されている。 特に有名第一巻「ファンファーレ」 第二巻「悪魔の階段」。「ファンファーレ」は ハ長調の音階をひたすら弾きながら他方でリズミカル に和音を進行させる。 悪魔の階段はひたすら高音に向かい和音が成長 する。現代音楽にしては聞き易い曲であろう。

リゲティはハンガリー生まれの作曲家。初期はバルトークの影響を強く受けていたが、 最近ではアフリカンリズムの研究を行い、異なるリズムや拍子を同時に進行 するポリリズムを積極的に曲に取り入れ、非常に注目されている。

このピアノ作品集はその彼のポリリズム作品の最高傑作と言われる「練習曲集１巻〜 3巻」が収録されている。特にお勧めなのは アフリカンリズムの時間変化がカオスティックに聞こえる 練習曲第１巻の「無秩序」、規則正しいベースの上昇音形の中、 それに対抗するべく輝かしい音形が現れる「ファンファーレ」、ひたすら音形が 上昇する第2巻「悪魔の階段」、圧倒的なスピードが要求され、その困難さから 当初は（自動ピアノのために）と指示があり、（任意で人間が弾く事も出来る） 「無限の円柱」などです。聞けば聞くほど彼のあふれるばかりのパワーに圧倒される はずです。

演奏者は現代の技巧派、そして現代音楽のスペシャリストであるピエール=ローラン ・エマール。リゲティのピアノ協奏曲のCDでも知られ、数々の現代音楽家の初演 を行ってきました。あまりにも難しい曲のため楽譜を見ることすら ためらってしまう「練習曲」を華麗に弾いてしまうその凄さに注目して下さい。
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